おまたせしました。
第28回「ふ」のスタートは、JR常磐線の石岡駅にある観光案内所前からです。
そう、東京都の府中ではなく、茨城県の府中なのです。
その昔、奈良〜平安時代に国司が収める地域・都市に置かれたのが
国府(こくふ)と呼ばれる政務を司る場所のことです、
国分寺、国分尼寺、総社などがある地域もそれに当たり、
石岡はまさに政治的中心都市だったことになります。
実は、石岡駅前の番地名は"国府"なんですよ。
今回の旅のテーマは"府中(ふちゅう)"なので、
その番地を目指して歩いて行きます。
ほどなくして"府中"となりました。
こーゆー建物が好きなので、つい立ち止まって見入ってしまいます。
お漬物用に干してらっしゃるのでしょうね。
蔵風の建物と、木塀が素敵でした。
実は府中からはそれて、少し遠回りをしています。
今日は神社仏閣を撮らずにおこうと思っていましたが、
まあランドマーク的に撮ってしまいました(笑)。
若宮八幡宮なので、当たり前のように番地は若宮です。
少し進むと"総社(そうじゃ)"となりました。
民俗資料館と書かれていますが、小学校併設となっています。
煉瓦塀に惹かれました。敷地内は更地になっていますが、
どのような建物があったのでしょうね。
石岡の街中には要所にこのような案内標識があり、
迷うことはないでしょう。
さて、番地も府中に戻って来ました。
石岡市は"看板建築"が残る街として知られています。
今回の旅の目的は"看板建築"を巡ることなのです。
"看板建築":関東大震災後、商店などに用いられた建築様式のこと。
建物前面を平坦として(軒を前面に出さない)モルタルや銅板で仕上げ、
装飾をつけているのが特徴としてあげられますが、
残っているもので現役店舗はいまや希少となっています。
登録有形文化財として指定されているものを訪ねて行きましょう。
まず最初は昭和3年に建てられた「平松理容店」から。
国道355線に出ました。しっかり"府中"と書かれています。
ただこの国道沿いは、旧町名が至る所に記されているので、
"府中"と呼ぶようになったのは新しいのかもしれません。
この国道沿いがいわゆる看板建築通りと云えます。
番地はここから"国府"となっています。
「森戸文四郎商店」は、昭和5年頃に建てられたもの。
前身は飼料店、現在は生花を扱うお店です。
「すがや化粧品店」は、昭和5年頃に建てられたもの。
前身は雑貨店、現在は化粧品店です。
「丁子屋」は江戸末期に建てられたもの。
看板建築ではありませんが、前身は染物店でした。
この名前は結構他の地にも残っていたりしますね。
現在は観光施設として利用されています。
「久松商店」は、昭和5年頃に建てられたもの。
前身は雑貨・化粧品店、現在は喫茶店です。
「十七屋履物店」は、昭和5年頃に建てられたもの。
現在も現役の履物店です。
「福島屋砂糖店」「久松商店」「十七屋履物店」の3軒は、
横並びに建っています。
看板建築ではなくとも、味のある建屋が目に着きますね。
少し歩くと「府中誉(株)」、安政元年創業の造り酒屋さん。
看板建築では無いですが、年季の入った建物です。
国道を外れ、来た方向へと戻る感じで歩きます。
この道は金丸寿通りと呼ぶようです。
モダンな造りですね。
おにぎり河内屋の文字の上に、府中誉の文字がありました。
「喫茶店四季」は、昭和5年頃に建てられた貸店舗の中にある
お店です。貸店舗としての看板建築が残っているのは
大変珍しいものだと思います。
暖簾も上がっていることだし、せっかくなのでここでお昼を
いただこうと考えました。"ランチの店"と書かれているし・・・
期待を込めてドアを開けて中へ。
「いらっしゃい。」
「一人なんですがいいですか?」
「ええ、でもお食事はできませんよ」
「えっ」
ランチの店・・・・でしょ?
ここは素直に諦めました orz
看板建築では無い「栗山呉服店」は、昭和7年頃に建てられたもの。
再び国道355線に戻って来ました。
看板建築ばかりに目を奪われがちですが、他にも素敵な
建物がたくさんあります。
やや看板建築っぽい(笑)・・?
「きそば東京庵」は、昭和7年頃に建てられたお店。
木造2階建てのいわゆる食堂建築と呼ぶものですね。
喫茶四季さんでお昼ごばんに振られたので、
ここで済ませることにしました。
手打ちでもなんでもないので、あまりおススメでもないですが、
訪問記念としてはいいでしょう。
食したのは"天ざる(850円)"でした。
おつゆが辛くて、醤油そのままかと思ったくらい・・。
先客にどうやら民放ではない某テレビ局スタッフらしき人々が、
食事を済ませたところでした。その中に見覚えのある方がいました。
多分ですが、「小○な旅」に登場する男性アナウンサーでしょう。
ってことは、しばらくして某局で"石岡の看板建築"の回が
オンエアされるのではないかと。
食事を終え駅に戻りました。
駅舎に掲示された"忠犬タロー"の物語に目頭を熱くしつつ、
「ふ」の旅を終えることとしましょう。
各々の写真は、クリックしていただくと多少大きめのものが見れます。
次回は 「へ」です。
今回も最後まで見ていただきありがとうございます。
では次回をお楽しみに・・・(続く)。
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